診察・研究について
外来診療
新患外来は月・水・金曜日の午前中、一般再来は月・水・金曜日の午前中、特殊再来は火・木曜日の午前中で、午後は専門外来、特殊検査、処置・手術を行っています。当科外来は主治医制でなく、手術・外勤のない教室員全員で分担しています。
1特殊再来
主に頭頸部悪性腫瘍患者、臨床試験症例等の診療を行っています。
2専門外来
補聴器外来、アレルギー外来の二つを専門外来として行っています。
補聴器外来では第2・3・4火曜日午後に補聴器適合検査、補聴器の調整、補聴器調整後のフォローアップを行っています。
アレルギー外来は水曜日の午後に行っています。治療として可能な症例では免疫療法を積極的に行っています。教室出身者の開業医が増えたため当科のアレルギー外来に通院する患者数は以前に比べて減っていますが、大分県は九州の中では免疫療法を行っている施設の割合が他県よりも多くなっています。3特殊検査
- 1)平衡機能検査
内科的平衡機能検査、重心動揺計、ビデオ眼振図による記録、ETT、OKP、温度眼振検査 - 2)聴性脳幹反応検査(ABR)
主に乳幼児の聴覚スクリーニング - 3)顔面神経麻痺の検査
誘発筋電図,電気味覚検査 - 4)グリセロールテスト
- 5)その他
特殊聴力検査,耳管機能検査,音声機能検査,嗅覚機能検査,鼻腔通気検査,超音波検査など
- 1)平衡機能検査
4処置・手術
主に以下の処置手術を行っています。
- 1)鼓膜チューブ留置術
- 2)鼓膜穿孔閉鎖術
- 3)鼻内内視鏡手術(鼻茸症や軽症の慢性副鼻腔炎)
- 4)アレルギー性鼻炎に対するレーザー手術
- 5)その他
頭頸部小手術,内視鏡下・エコー下生検など
5外来カンファレンス
毎週木曜日の16時30分からは外来カンファレンスを行っています。平衡機能検査・ABR等の特殊検査の結果判定、問題のある症例の検討、入院予約した症例の治療方針の検討を行っています。研修医だけでなく、臨床実習中の学生も参加するため重要な医師・学生教育の場ともなっています。
病棟診療
病棟は附属病院5階新病棟に29床を有しています。年間のべ入院患者数は約10000人です。
1手術
手術は月・火・木・金曜日の午前・午後、水曜日の午前に定時手術、その他、緊急手術が不定期に行われ、年間の手術件数は400から500件に及びます。手術内容は県下に手術を行っている耳鼻咽喉科施設が少ないことから耳鼻咽喉科領域のほとんどを網羅せざるを得ない状況です。
非腫瘍性疾患の手術では耳科手術は慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術が中心ですが、平成10年より高度難聴者に対して人工内耳埋め込み術を始め、今日まで約20症例に施行しています。鼻科手術は慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎に対する鼻内内視鏡手術が中心になっています。口腔・咽頭手術では口蓋扁桃摘出術、アデノイド切除術が中心で口蓋咽頭形成術も睡眠時呼吸障害の症例に対して行っています。また、扁桃周囲膿瘍に対しては即時扁摘も治療の選択肢としており、緊急手術として行われます。喉頭手術ではラリンゴマイクロサージェリーを中心に声帯ポリープ,声帯結節,ポリープ様声帯炎,声帯白斑症の治療を疾患によってはレーザー照射併用で行っています。その他、顔面骨骨折整復術、異物に対する食道直達鏡、気管支鏡などが多く行われています。
頭頸部腫瘍は外・中耳、鼻副鼻腔、口腔、咽頭、喉頭、唾液腺、甲状腺の各疾患に対して手術を施行しています。悪性腫瘍に対しては鼻副鼻腔では切除後遊離前腕皮弁、外側大腿皮弁や腹直筋皮弁による再建を行ない、頭蓋内に進展した症例では脳神経外科と共同で頭蓋底手術を頻度は少ないものの行うこともあります。口腔・中咽頭では切除後に遊離前腕皮弁、外側大腿皮弁や腹直筋皮弁にて、下咽頭では遊離空腸にて再建を行っています。再建手術では腸管採取は当院消化器外科に依頼していますが、それ以外は全て当科のスタッフで行っています。また、早期声門癌に対してはレーザー手術、早期下咽頭癌に対しては直達鏡下腫瘍切除も適応としています。2回診
耳鼻咽喉科の朝は8時15分からのカルテ回診で始まります。これは茂木前教授の時代から継続されており、現在は鈴木教授が月曜日から金曜日の毎日行っています。前日入院した患者の紹介、治療方針の決定、問題点の報告等すべての症例に対して1例ずつ確認されます。カルテ回診の後に教室員総出で入院患者の診察・処置が行われますが、毎週火曜日の朝は教授回診となっています。入院した翌日、問題のある症例は回診日でなくとも教授自身が診察しますが、回診日は全例全身・局所の所見、術後の創部の状態について教授による診察・処置がなされます。これら毎日のカルテ回診と教授回診による判断を指針として治療が行われています。
3手術カンファレンス
火曜日の16時30分から手術カンファレンスが行われます。その週に実施した手術の術式を主治医が説明し教室員で手技等について討論されます。研修医の手術手技の理解・向上、学生教育にも役立っています。
研究
先に述べたように当教室では茂木前教授の時代より基礎研究を重視してきました。教室員は大学院生でなくとも基礎研究を行い学位を取得することを基本方針としています。教室の研究テーマは鼻・中耳を含む上気道粘膜における免疫機構の解明で組織学的,免疫学的,分子生物学的手法を用いた研究を行っています。
具体的に現在行われている研究の内容は
- 1)実験的中耳炎モデルを用いた中耳粘膜免疫機構の解析
- 2)経鼻免疫による中耳炎ワクチン開発のための基礎実験
- 3)インフルエンザウイルスに対する不活化経鼻ワクチンの開発
- 4)ANCA関連血管炎性中耳炎の基礎的・臨床的研究